ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。

ストロングゲロ

ストロングゼロ、それは悪魔の作りし酒。
アルコール界の異端児、暴君、董卓仲穎。

これまで35年ほど生きてきて、ありとあらゆる酒に手を出してきたからこそわかる。
ストロングゼロ、君はやばい。

アルコールの度数表示にだまされてはいけない。
9%なんてそんなかわいいものじゃない。
同じ量のワインや日本酒を飲んだところであんな無茶苦茶にはならない。記憶も飛ばない。

ストロングを飲みすぎたとある友人が、夜中にむっくり起きて止める奥さんの制止を振り切ってマンションのベランダから放尿したそうな。
また別の、同じくストロングをやりすぎた先輩は家に帰るやいなや弟の部屋に入り、止める弟の制止を振り切って弟の本棚に放尿したそうな。以後弟とは口をきいていないらしい。

笑って聞いていたが、この間同じくストロングをやりすぎた僕は、夜中にむっくり起きて、台所シンク下の収納扉をおもむろに開け、そこにおしっこをしようとした。僕の場合は嫁さんの必死の制止が功を奏し、幸運にも恐るべきdisasterは免れたが。

ストロングをやりすぎた者は高確率で下関係のトラブルを発生させるようだ。

おまけに記憶の飛ぶ率も異常に高い。
一昨日だってそうだ。
一軒目の焼き鳥屋にて僕はストロングゼロがいかに危険なシロモノかを二人の同僚に懇々と語った。
同僚はストロングをやったことがないようで、日本酒を飲みながら、なるほどそれほど危ないブツなのかと、納得した様子だった。
そのような様子だったのだがしかし、酔いが回るにつれ話が変な方向に走り始めた。
それほど危ない危ないと言うのなら一度飲んでみようじゃないかと言うのである。
好奇心、人を殺す。
やめた方がいいという僕の説得も酒が深くなればなるほど力を失い、いやむしろその説得が火に油を注ぐ結果となり、いつしか僕の意見も逆転し、店を出る頃には僕もノリノリでストロングをヤってやる!などとほたえておったのである。

日本酒をしこたまいった後の、追いストロングである。
しかも350ではなく、500の方をチョイスした。
オーバーキルからのゴートゥーヘル。
経験にすら学ばない愚者だ。
以前電車の中でおっちゃん二人がストロングについて話をしているのを聞いた。
「なあ、ストロングゼロてあるやろ?あれの500缶さあ、一本飲み終わる前にベロベロなってまえへん?」
それ!まさにそれ!圧倒的同意!
その地獄行きの特急券、ストロング500缶をベロベロの状態で、一昨日の僕たちは一気に飲み干したようだ。

ようだ、というのはつまりストロングを買う前、一軒目を出てからの記憶が全くないのだ。
次に記憶がつながるのは二軒目の店で僕が思い切り、ストロングにゲロを吐く場面からである。
僕を介抱してくれた同僚もその後すぐにゲロをストロングに吐いていた。
ゲロが新たなゲロを呼ぶ、阿鼻叫喚の地獄絵図である。
追いストロング500をキメた者の末路だ。

ストロングゼロ、そのコストパフォーマンスは素晴らしい。
味、安さ、即効性、どれ一つとってみても文句のつけようがない。
特に即効性、これがピカイチでやばい。
普通の酒を飲んでて徐々に酔いが回ってくる場合、それは経験上ある程度わかるし、これ以上いってはいけないというラインもわかる。
しかしストロングは突然来る。遅れて現れるヒーローばりに、突然来るのだ。
しかも遅れない。そのヒーローは遅れないのだ。むしろ早い。圧倒的早着。
だから戸惑う。間に合わない。ゲロを吐く準備が整わない。
30を超えて生まれて初めて情けない吐き方をした。
「こんなの初めて」と30半ばの人間に言わせるだけの何かがストロングにはある。
アルコール以外の何かが入っているに違いないと、僕はにらんでいる。人を狂わせる何かだ。

気をつけよう。ストロングには気をつけよう。
特に追いストロング、その功罪については語るべくもない。
断罪されるべき所業である。

もう追いストロングだけはやらないぞ!と、この日記を書きながら、ストロングゼロ片手にそう思った。