ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

夜を越えて

柔らかく温かな灰色の砂を食もうとした
無神経に無作為に伸ばされたその手を
君がつかんだ
僕は驚いて君を振り返ると
もうすっかり旅支度は整っていて
僕たちの間には幼子が一人
君の指差した方角は真っ暗で
海とも空とも見分けがつかず
しかし日を飲み込んだ遠くの山際だけが青白く
チロチロと燃えている
ああ、そうだったと僕は握りしめた灰色の砂を
その緩慢な死を手放した
僕たちの間には昨年手に入れた小さな灯
その灯を頼りにハリボテのvehicleを作ろう
僕らを導くvehicle
ダイヤモンドダストの凍てつく夜を越えて
幼子のほっぺは紅く
僕らの吐く息は白い