年度の半分を消化した。
今年度の前半は随分苦しく、やろうとしたこともうまくいかなかった。
具体的には小学館新人コミック大賞に応募しようとしていたが、ほとんど筆を進めることができなかった。この夏に進めることができたのは漫画の下書き2ページか3ページだけだ。ペンを入れることができるようになったのはようやく、9月に入ってからだった。
まあ、このクソ忙しい夏のキャンプの真っ最中に漫画描こう、て方がどうかしてる。それはどうしたって無理だということが骨身にしみて分かった。むしろ、キャンプ中に下書き2、3ページ進められたことがすごい。
どうやってやったんだ、それ?
小学館新人コミック大賞の〆切は9/15で、規定のページ数は32ページ「前後」だったので、僕の描いてる36ページの漫画ならいけるかなと思っていた。ところが、どうあっても9/15に間に合わないと分かって、違う賞を探すべく改めて数え直してみたところ、ページ数は36ページではなく、キッチリ50ページあった。何を言ってるのか分からないと思うが、僕も何が起きたのか分からなかった。ともかく僕の今描いてる漫画のページ数は36ページではなく、50ページであった。
それで、50ページもの漫画をどこの賞に出すんだと呆然としていた9月のある日、はてなブックマークで衝撃的な文言が飛び込んできた。
「81歳が渾身の62ページで松本大洋賞を受賞」
「81歳」と「62ページ」と「松本大洋賞」のどれもがパワーワードすぎて目まいがした。短い文なのに情報の混雑がすごい。
ともかくここに書かれてあるのは、81歳が漫画新人賞を受賞し(これも書いててものすごく奇妙な感じがする)、その賞を授与したのが僕の大好きな松本大洋先生であった、ということのようだった。
何より、残されたパワーワード「62ページ」が僕の目を引いた。そんな大量の原稿を受け付けてくれる賞があるんだ。少し調べてみると小学館の「ビッグコミック&ビッグコミックオリジナル青年漫画賞」が今回松本大洋先生が審査員長を務めた正式な賞の名前だと分かった。
同賞の次回(第12回)の受付も始まっていて、要項を読んでみると確かにページ数制限は「なし」と書いてある。今回81歳が受賞したということは、現在42歳の僕にもチャンスがあるかもしれない。この賞いいんじゃないか?
本当は松本大洋先生に作品を見ていただきたかったが、この賞は毎回審査員長が変わるようで、次回の審査員長は…と要項を読み進めると「高橋留美子」と書いてあった。
えーと高橋留美子、高橋留美子………げっ、高橋留美子!?
その瞬間僕の腹は決まった。何が何でもこの賞に作品を出そう。漫画界の生きる伝説に読んでいただけるのだ。そして僕の描いてる漫画は規定を満たしているのだ。出さない手はない。
僕の漫画はアナログ(線画)とデジタル(ベタ&トーン)を組み合わせて描いており、デジタルの部分は全部嫁さんがやっているので、嫁さんの協力無しには完成しない。嫁さんと話をし、ビッグコミック&ビッグコミックオリジナル青年漫画賞(高橋留美子賞)受賞を共に目指すとの合意に達した。
bigcomicbros.net
〆切は11月30日。現在下書きは最初から15ページとラスト5ページが終わっていて(諸々の事情でそんな変なことになった)、ペン入れは11ページ目まで進んでいる。トーンとベタも嫁さんにより進められ、既に7ページ目までは完成している。あと2ヶ月近くあるが、別に二つの仕事をしながら、さらには二人の幼子を育てながらなので毎日少しずつしか進めない。完成はきっと締め切りギリギリになると思う。それでも子育てに奮闘しながら、夫婦で必死に描き進めている。
るーみっくには僕達の全てを受け止めてもらおう。
我々の魂の波動を、喰らい尽くしてくれ。
今週のお題「ちょっとした夢」