ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

消極的朝型人間

一昨日は朝5時前に目が覚めて、その直後に春ちゃん(息子)が目を覚ました。毎度僕が起きた直後に春ちゃんが起きるのであるが、ひょっとすると春ちゃんの泣き声で僕がそれと気付かずに起こされているということなのだろうか。よくわからない。
ミルクをあげる時間はいつも6時過ぎなので、それにはまだ少し早く、抱っこしてみると割とすぐに寝た。多分、寝返りを打った拍子に勢いよくグルンと回ってしまって偶発的に起きてしまったのだと思う。
春ちゃんの布団へのランディングを無事に済ませ、時計を確認してみると5時11分だった。僕は自分の作業机に向かい、漫画を書き始めた。


日々の仕事が終わって帰る段になると、毎回「今日こそは」と思う。今日こそは書きたいものを書くのだ。皆が待っている(待っていない)であろう『猫先生』第3話を進めるのだ。あるいは春ちゃん日記を、もしくはこのブログを、さらには自らの手記を書くのだ。そんなことを思う。しかし、帰る途中に酒をひっかけ、帰って春ちゃんをお風呂に入れ、夜ご飯を食べたらもう己には何も残っていない。「眠る」以外のコマンドが残されていないのだ。もっと酒を飲む、とか、嫁さんと会話を楽しむ、とか色々ありそうなのに、全部できない。「眠る」一択。とにかく眠い、眠くてどうにかなってしまいそうだ。
それでちょっと横になったが最後、気が付いた時には眠りの底まで行ってしまっている。あとは嫁さんから起こされて歯磨きを促され、最後の勇気を振り絞って立ち上がり、ホセとの戦いの終盤の矢吹丈みたいになって歯を磨いてもう一度ぶっ倒れることしかできない。

今年度が始まって、以上のようなことが何度も何度も繰り返された。半年経って、アホな僕もようやく気付いた。これは無理だ。つまり、仕事から帰って、子どもの面倒見て、さらに自分のやりたいことをするのは無理。

仕事が終わった時点でもうライフは0近い。その状態でもうちょいファイトをしぼれるかなと、発奮するために酒を飲んだところで今の僕には逆に効果が出て速攻で眠ってしまう。小パン一発で死ぬようなゲージしか残ってないのに昇竜拳くらうみたいなもんだ。
そして酒を飲まなくっても結果は同じで、僕はどうすることもできずバカみたいに夜に飲まれる以外に術を知らない。
つまり夜9時を過ぎたなら、どのように頭を巡らせたところで「眠る」コマンド以外出てこなくなるのだ。期待しても祈っても無駄だ。

それなら朝に期待しようと思った。3時であったり4時であったり5時であったり、不規則だけどとりあえず春ちゃんと共に早朝に目を覚ますのだからその時にちょっと気合いを入れて起きて、まあ気合いを入れなくても目だけは覚めるのだけど、そして机に向かう方が夜に対して絶望的な戦いを挑むよりはまだマシだと思った。それで昨日は早朝に目を覚ましたまま机に向かってみた。

昨日は結局1時間半ほど書いて、2コマか3コマ下書きを済ませて、新しいページの枠線引いたところで春ちゃんが起きてしまったのでタイムアップとなった。しかし、書けた。ほんの少しでも、今まで平日には絶対できないと思ってたことができた。それだけで僕には十分だった。

今まで「クリエイティブな仕事をするには早朝が良い」とか「有名企業の誰々さんは超朝型だった」とかあちこちで見たけど、もしかしたらそういう人たちも、消極的理由から朝型になったのではないか。つまり「朝に起きるといいことあるんだ、カンバルゾー!」みたいな積極的でガンガンに意識高い理由からじゃなく、夜は酒やら眠気やら疲れやら、とにかく色んなのが己を訪れてはとんでもなく強引な力でひっぱるものだから、それに抗うことができなくて、どうすることもできなくて、やむを得ず、しょうがなく朝型になったのではないか。
「だって夜は眠くてしょうがないしー、朝しか自分の時間とれないしー」そっちの方がよっぽど説得力がある。自らの意志でそうなったわけでなく、環境が朝型にさせてしまった、と理解した方が遥かにわかり良い。己を振り返ってもそうだ。朝になぞ絶対起きられなかったのに、今は子育ての関係で5時とか6時に苦しみながらも起きている。人間やむを得ないとか、他に方法がない、というのが動機として一番強い。きっとキラキラした自己啓発系の素敵朝型人間も、ドロドロの生活の中で他に方法がなく、消極的理由から朝型になってしまったのではないか、そう僕はにらんでいる。朝起きた時もスッキリスパーン!みたいな起き方でなくて、疲れと眠気とまどろみの沼の中から生成された暗黒物質みたいな起き方をしているのではないかと僕はにらんでいる。少なくとも僕はそうだ。キラキラスッキリスパーン!なんて人間、僕には信じられない。


今年度はとりあえず朝型で行くしかない。だって他に無いんだもの。消極的理由からどこまでいけるかわからないが、ホントはもう少し時間が欲しい。朝に2時間やりたいことできればその日一日幸せに過ごせる気がする。春ちゃん朝4時に起きてくんないかな…。