ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

ほぼ絵日記『スキャナー(エプソンのGT-S650)を買う』

ある晴れた夏の日、うだるような暑さの中出稼ぎから帰還した僕は外に出た。

人間を殺しにかかる大阪の暑さ。

何のために?
もちろん決まっている。スキャナーを買いに行くためだ。
以前からイラストや漫画をここに上げることがあったが、その際「シャーペンで下書き→コンビニにコピーを取りに行く→コピックで着色→コンビニでスキャン→UP」というまことに面倒くさい手順を踏んでいた。コンビニでわざわざコピーを取るのはシャーペンの上からコピックを塗ると線がにじむ上にコピックにカーボンが付着してしまうためである。

この手順を簡略化するため以前からまとまったお金が入ったらスキャナーを買うつもりでいた。出稼ぎを終えた今、即ちその時がやってきたわけである。
僕はヨドバシカメラ梅田店に向かった。

ヨドバシカメラは結構好き。

まっすぐスキャナー売り場に向かうつもりだったが、途中appleコーナーがあったので少し立ち寄った。先日友人から「iPadで絵描くのもいいんじゃないですか?」と言われたためだ。でかい方のiPadプロの値段を確認する。12万。高ぇ……。

到底今の僕に手の出せる代物ではないことを理解した僕は、逃げ出すようにその場を離れプリンター・スキャナーコーナーへ。
スキャナーというものをほとんど生で見たことがない僕は、目の前にある物がプリンターなのかスキャナーなのか判断できず、ウロチョロしていると店員のお兄さんから声をかけられた。
「何かお探しですか?」
と聞かれたので
「スキャナーを探しています」
と答えたところ
「スキャナー?ここに置かれてるのはプリンターばかりですが」
と店員のお兄さんは言った。その後2秒の沈黙。
僕にはお兄さんの心の声が聞こえた。

なんだその態度は?修正されたいか貴様。

そもそもオドレが声かけてきたんやないか。なんでそんな嫌な顔するんや。
「はぁ…それでスキャナーはどこですか?」
そう聞くと我に返ったお兄さんは僕をスキャナーの置いてあるところに連れて行き、愛想無くすぐどこかへ行ってしまった。
僕はスキャナーがどこにあるか聞いただけなんだが、スキャナーに親でも殺されたんか?

ともあれスキャナーなるものを初めて生で見た僕は想像してたよりも小さい、とまず思った。しかも色んな形のスキャナーがあるんだ。
事前に友人のイラストレーターより、スキャナーならEPSONがいいよ、と聞いていた。一応自分でもネットで調べ、EPSONのGT-F740に的を絞って見に来たのだが、他のと見比べてみても違いがよく分からん。なんかしっかりしてそうだしこれでいっか、と安易にその機種を買おうとした僕を心の声が引き留めた。

突如として心の中に現れ出るネテロ会長。

確かにGT-F740はグラフィック用のEPSONのスキャナーとしては下から二番目の機種で、なぜ他の機種ではダメなのか自分の中で理由が明白ではなかった。最も高い機種は6万ぐらいするのでちょっと厳しいとしても、次点の機種は3万ぐらいで買えないことはない。どれが最善の択なのか、僕はその場に座り込んで考え始めた。

果たしてどれが……ん?

ふと見上げるとEPSONのスキャナー比較表があったのでじっくり眺め始めた僕はあることに気がついた。光学解像度という項目が下2つと上2つで同じなのである。その瞬間当初買う予定であった下から二番目の機種GT-F740は選択肢から消え、全く選外だった一番下の機種が急浮上してきた。一番下の機種GT-S650は1万円を切る安さで薄くて軽い。ちゃちいとも言えるが、しかし僕がプロのイラストレーターならまだしもブログにちょこちょこ絵載せるぐらいの使用用途ならこれで十分だろうと思った。いざきれいにスキャンしたいならセブンイレブンのスキャナー使えばいいし。
心のネテロは消えた。僕はEPSONのGT-S650を購入した。

今はこの機種にして良かったと思っている。オートスキャンモードでも薄い色もよく表現してくれるし、色味は原色にめちゃくちゃ近いし、僕には十二分の仕事をしてくれる。この記事のイラストは全てGT-S650でスキャンしたものだ。むしろ肌色とか他の薄い色もセブンイレブンのスキャナーよりいいんじゃないか?全然見劣りしない。
このスキャナーにはコピーモードもあって白黒のレーザープリンターだけ持ってる僕はコンビニに行かずに下絵をコピー出来るようになったし、さらにプロフェッショナルモードでは色の調整もできるみたい。これからじっくり勉強していこう。

心の声に従って良かった。

よく分からない体勢でスキャナーとの記念撮影を試みる筆者。