ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

中国明代の歴史プリント

一昨日の生徒の発言に気をよくした男は、早速中国は明朝のプリントをブログに載せていく。

まずはこの王朝を作った朱元璋。貧しい農民の出身で家族が皆飢え死にしたため、やむなくお寺に身を寄せたという暗い過去を持つ男(口減らしのため寺に出されたという説も)。一発当てるために元に対する反乱「紅巾の乱」に参加、貧民出身の朱元璋は同じような立場の人々からの支持を集め、あれよあれよという間にリーダーになりモンゴル人を北に追っ払って明を建てる。
同じく農民から皇帝になった人物として、漢を作った劉邦がいるが、劉邦の人気に対して朱元璋は中国で最も人気がない皇帝。なぜか。

朱元璋は皇帝になった後、共に戦った仲間、及びその家族たちを、自らの跡継ぎのためじゃんじゃん殺しまくった。それだったら劉邦だって同じじゃん、ということになるが、劉邦の場合は項羽という最高のライバルがいたため、劉邦VS項羽の話が面白すぎて、皇帝になった後のことは割とほったらかしにされがちである。言うなれば劉邦にはライバル補正、司馬遼太郎補正、横山光輝補正がガンガンにかかっている。朱元璋にはそれがない。

おまけに後世に伝えられる朱元璋の顔面も二通りあって、朱元璋には顔面詐欺疑惑がかかっている。片方はネコミミをつけた好々爺といった顔立ち、もう片方はどこからどう見ても強欲で残忍で卑猥な顔立ち。本当の顔は後者だと言われており、顔面関連のマイナス補正がすごい。
また、朱元璋は自分の暗い過去に触れられることを異様に嫌うところがあり、坊主関連の言葉を使った者は即刻処刑されている。貧しい生まれの人が、あまりに強大な権力を握った時に自らの過去を消そうとする、悲しい性である。
一つぐらいいいところは無いのか、という話になっくるが、嫁さんだけはいい人だったみたい。朱元璋その人の話じゃねーのかよ。

「僧」「禿」はダメ、ゼッタイ。「光」という言葉を使って処刑された者もいるらしい。気持ちは分かるが気にしすぎである。

続いて明朝の最盛期を築いた永楽帝だが、彼が宦官(去勢された皇帝の使用人)を復活させたというところから、媚びへつらうものをこの世で最も憎むであろうラオウ大先生にご登場頂いた。宦官がどれだけ気持ち悪い生き物かは、曹操サイドから三国志を紐解いた異色の漫画『蒼天航路』にありありと描かれている。中には鄭和(永楽帝のために幾度となく航海し、アフリカのキリンを中国に持ち帰った男)みたいなすごい宦官もいるが。

宦官にまとめて剛掌波をかまして欲しい。

最後にこの時代の陽明学から吉田松陰先生とその辞世を、『三国志演義』が作られたというところから、横山光輝先生の司馬懿を描いた。同時に学校の図書室をチェック、横光三国志のあることを確認後、生徒に激しくオススメしておいた。僕の判断基準では横光三国志の置いてある図書室は例外なく良い図書室である。「判断基準とか言ってるけど、あなたただの横山光輝ファンじゃないの?」という声は心に秘めておいて欲しい。

僕も横山光輝先生みたいな、シンプルで素敵な絵が描けるようになりたい。
プリントの全体像。今日からまた楽しいプリントを作っていこう。