ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

コピックを買った

色、色、色。

色塗るのはとてもめんどくさいとずっと思っていた。色なんて塗らなくてもペンだけで結構色々表現できるし、ていうか僕の愛した漫画はどれも白黒だし、ていうか線画の方がなんかオシャレな気がするし。みたいなことを下手クソな線画描きながらずっと思っていた。

だけど、先日近くの本屋の児童書コーナーに立ち寄ってみて、僕は色を塗らないための言い訳を探してただけだと気がついた。その本屋にある児童書はどれもカラフルで、そのカラフルな児童書に囲まれているだけですごくワクワクとした気持ちになった。色は人の心を愉快にさせる。
白黒のものと、カラフルなもの、人は割と無条件に後者を選択するのではないだろうか。ネットでたくさんのカラフルな漫画が公開されてる中、自分だけ変な言い訳をして色塗ることから逃げてる場合じゃないと思った。きっと色塗った方が見てもらえる機会も増えるだろう。

それで画材を探すことにしたのだが、僕はとにかく根がモノグサなので、楽に準備出来て楽に塗れるものが良かった。ネットで色んなサイトや動画を漁って調べてみたところ、女の子のおしりを描くのが宇宙一うまい漫画家、桂正和先生が絵の色付けにコピックを使っている場面に遭遇した。その絵を見てコピックを買おうと決めた。

だが、コピックは高い。ただのカラーのマジックじゃねーの?と思ってたから最初値段見たときビックリした。どうしたものかと思案していたところへ嫁さんも絵の具を探しているという耳寄りな情報をキャッチした。僕は嫁さんに接近した。古来より経済的利害関係が一致した時、最も強固な政治的、あるいは軍事的同盟は成立する。僕は嫁さんに交渉を持ちかけ、そしてコピック代を折半してもらうという坂本龍馬でも難しいであろう条約の取り付けに成功したのである。

薩長同盟が成ったところで早速kawachiという画材屋さんに向かい、嫁さんと共に吟味して約1万円のコピックスケッチ24色セットを買った。コピックのセットは鍵つきのショーケースに入れられていて、それだけで何か特別なものを買うのだという気がした。

薩長同盟の成果。

シャーペンで描いた原稿にコピックを使うと線がにじんでしまうようなので、コンビニで先日描いた4コマのコピーを取ることにした。

コピックを買い、原稿のコピーを取ったもののしかし、ゆっくり色を塗るような時間がなかなか取れず、日曜日にやっと塗れると思っていたら、日曜日(昨日)は友人の引っ越しを手伝うことになってしまった。そこで僕は原稿のコピーを2枚取り、1枚は僕が引っ越しの手伝い行ってる間嫁さんに塗ってもらうことにした。

引っ越しは割と大変だったが手間賃とさらに手間賃以上に価値のある戦利品を大量にGETできて、とても嬉しかった。気分良く家に帰ってくるとちょうど僕の原稿に嫁さんがコピックで色を塗ってるところだった。

僕が塗るよりはるかに良いと思った。色塗るとこんなに印象が変わるのかと驚いた。そして嬉しかった。僕の原稿に魂が宿ったような、そんな気がした。

図に乗った僕は、その日の晩会うことになっていためいっ子ちゃん(小6と小4)にも色を塗ってもらうことにした。
これも俺が塗るより絶対ええやん。

今まであまり気付いてなかったが、どうやら僕は潜在的に色を塗るのが苦手という意識を持っていたみたいだ。これまで色を塗ろうとしてこなかったのもそのためだろう。

今回初めて原稿に色をつけてもらって、僕がドシドシ原稿を描いて嫁さんやめいっ子ちゃんに色を塗ってもらうというスタイルもありなのでは?と思った。得意なことを得意な人がやる、WIN-WINの関係じゃないか。

コピックを買って新たな可能性を感じた。僕の原稿が彩られていくあの不思議なドキドキ感。嫁さんと二人で新しいことに挑戦できるんじゃないかと思ったんだ。薩長同盟が僕らの新時代を切り開くのだ。