ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

はてなインターネット文学賞(はてなブログ賞)を受賞しました

昨日は嫁さんが大阪まで車で遊びに来ていたので、帰りは職場で拾ってもらって春ちゃん(息子)と三人車で帰った。

帰りの運転は僕だったので、僕が音楽をリクエストし、嫁さんのiPhoneで好きな音楽をかけてもらった。米津玄師と菅田将暉が一緒に歌っている歌がかかっている途中だったと思う。菅田将暉の歌い出しのところで春ちゃんの足がiPhoneにあたり、音楽が飛んだ。
菅田将暉の歌声を聞きたかったのに残念だな、と思っているところに僕のiPhoneが通知を受けた。信号待ちで見てみると珍しくTwitterからだった。僕のTwitterは見る専用になってしまっているので通知を受けることはほぼない。

なんだろうかと思って見てみるとはてなブログからだった。「はてなブログ賞」の文字が見えた瞬間心臓が大きくドクンと鳴った。
僕の『2021年2月3日』が受賞作品と書かれてあった。信号が青に変わる前に大急ぎでもう一度見た。間違いない。受賞している。

ものすごくドキドキして、それでもできる限りの平静を装って、「やりました」と嫁さんに僕のiPhoneを渡した。嫁さんは「えっ、えっ!?」と戸惑いながらiPhoneを受け取りその通知を読んだ。「どういうこと?どういうこと?」嫁さんは通知を読んでもなおしばらくは状況が把握できないようだった。

僕もやっぱり不安になって、信号待ちでもう一度通知を見せてもらった。どこをどうしたって僕のブログが受賞作品と書かれてあった。嫁さんは「えっ、えっ、すごいすごい…」と飲み込めないものを無理に飲み込んだようになった。僕も嫁さんもなんだかぼんやりしてよくわからなかった。

途中コンビニに立ち寄り、春ちゃんのオムツを替え、僕のブログを開設当初からずっと楽しみに読んでくれている稀有な友人に「今夜オンライン飲み会はできるか?」と連絡した。「今夜は仕事が…」とのことだったが、「遅くなってもいい、連絡したいことがある」と食い下がった。その友人は夫婦で僕の書いたものをずっと読んで、面白いと応援してくれていた。どうしても受賞したことを伝えたかった。

それから車を発進させ、生駒の山を越えながら車内で嫁さんと喜びを分かち合った。事態を把握してからはどちらかと言うと僕より嫁さんの方が嬉しそうだった。その様子を見てまた僕も嬉しくなった。
何か曲をかけてと言うと、嫁さんはcharaの『大切をきずくもの』をかけてくれた。


小説やエッセイや漫画や、今まで幾度も賞に応募してきたが、からきしダメで、多分下読みの段階で外されるような結果しか得られなかった。賞を取るためにモノを書いているわけではないが、しかし何かの結果が欲しかった。心の底から欲しかった。
意味のないことを繰り返していると思いたくなかった。

書くことはもともと好きで、中学3年の頃からずっと日記をつけていた。毎日ではないが今でもつけている。その日記は誰にも見られないよう机の中にしまっていたが、こっそり盗み見る者がいた。我が父だ。
なぜわかったか。僕が高校生の頃、突然父が「お前はなかなか文章がうまい。小説家になれ」と犯人しか知らない自白を始めたからだ。

盗み見られていたことはめちゃくちゃ嫌だったが、父にほめられたことは嬉しかった。僕の父は少しばかり有名人で、周りからは「すごいお父さんだね」と言われるような人だった。
父が普通でないことは、幼い頃の授業参観でクラスメートの母親がずらりと並ぶ中、一人ど真ん中で堂々と構える我が父を見て以来、薄々感じていた。僕は父に多少なりともコンプレックスを感じていたのだと思う。だからエヴァンゲリオンファイナルファンタジーⅩや松本大洋の『花男』や、父と子の確執を描いたものには昔から弱い。

そんな父から曲がりなりにも認めてもらったことが、書いて生きていくことを志すきっかけになった。
それで高校の非常勤をしながら、こっそり小説を書いたり、このブログを書いたり、漫画を書いたりするようになった。ただ、目に見える結果には全くつながらなかった。

僕の書いたものを楽しんでくれる人は嫁さんや、実生活の友人の中にもあって、僕はたくさんの励ましを受けた。ただ、僕自身自らの書くものに価値があるのかどうかよく分からなかった。だって賞の一つも取っていない。もしかすると僕の人となりを知っているから皆面白いと思ってくれるのかな、と思ったりもした。

だから第三者からの客観的な評価が欲しかった。父に認められたことだけを頼りに書くことを志したが、己は何の価値も才能もないのにただ書くことにしがみついているのではないかと、そんな気がしていたから。そうではないと、公の場で肩を叩いて欲しかった。

途中noteに浮気したり、はてなブログPROになったりPROをやめたり色々あったが、固執して投稿を続けたはてなブログで賞を頂けたことは、おまけに1403もの作品群の中から選ばれたことは、僕にはこれ以上ない証明だった。勇気をもらった。

はてなインターネット文学賞(はてなブログ賞)は僕の書いたものが頂いた初めての賞になった。


コンビニで連絡した先の友人は、その夜のオンライン飲み会で、僕よりも嫁さんよりも、誰よりも僕の受賞を喜んでくれて、1時間以上僕のブログについて語ってくれた。途中から仕事帰りの奥さんも参加して、共に喜んでくれた。それで調子に乗ってめちゃくちゃ飲んで、夜中に爆音のいびきをぶちかまし春ちゃんと嫁さんを起こして不興を買った。皆寝不足のまま今朝を迎えた。
それでも、朝になってもやっぱりドキドキして、嬉しかった。


以下、受賞作です。よければ読んで下さい。
yoakenoandon.hatenablog.com
blog.hatenablog.com