ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

4コマまんが大賞大落選ちゃうかったんかーい(12月9日)

学校は2学期期末のテスト週間に入り、連日テストを作るか、採点するか、ノートをチェックするか、どれかの作業に追われ続けている。

一昨日は2年生の世界史のテストで僕は出題者だった。2限のテストだったので、朝はゆっくり、パンとアルトバイエルン2本をのせた目玉焼きを食べて8時頃家を出た。いつもと電車が違うので早朝からストロングチューハイをガンギメしてるおっさんとは出会わなかった。

テスト開始の30分前に学校に到着。座席表を教室に貼り、3年世界史のテスト作成に勤しむ。開始のチャイム前にちょっと見回りに行ってテストが不足している教室がないかを確認した。その後はまた職員室でテスト作成。テスト開始から25分が経過し、質問がないか各教室を確認して回る。この瞬間が一番嫌いだ。2年は受け持ってるクラスが5クラスあるので、ややこしいミスがあると5クラスすべて訂正して回らなければならない。5クラス目でミスが発覚した時など、発狂しそうになる。幸い、今回は何のミスも質問も出なかった。

テスト終了後、会議室で試験監督からテストを受け取るのだが、その際には必ず枚数を確認することになっている。この10年で定期考査に関して煩瑣な作業が増えた。中でも問題用紙と解答用紙を1人分ずつ折って、セットにする作業などは多くの生徒を一人で受け持っている教員には狂気の沙汰だ。それまでは試験監督の先生が試験開始前に問題用紙→解答用紙の順にそれぞれ一斉に配っていたのだが、それではダメなのか。試験監督の先生の負担軽減のため、と銘打って出題者がセットにすることになったが、そうしたところで今度は出題者の負担がとんでもないことになってしまった。20人、30人しか授業を受け持ってない先生ならともかく、僕は250人の生徒を抱えていて、セットにする作業だけで1時間以上かかる。試験監督の先生がそれぞれで配ってくれれば1分で済む話なのに。怠惰を求めて勤勉に行き着く、という言葉があるが、この作業などは勤勉を求めて混乱に行き着いている感がある。そもそもなぜ非常勤の僕が学校で誰より多くの授業と生徒を抱えているのだろうか。非常勤の常態化とはこれいかに。学校世界の逆立ちが過ぎる。と、前回の日記から僕の愚痴も過ぎるな。

テスト後の枚数確認も5クラス分を僕一人で行わねばならず、40人分を数えるのも3秒でできるわけではないので僕が枚数を数えている間、残りのクラスの試験監督の先生を待たせることになる。それもなんだか気を使って嫌だ。今回は日本史の先生が数える作業を手伝ってくれて随分助かった。

前回の日記で書いたように職員室には僕は1秒でも長くいたくないので、広々とした社会科教室で丸つけをすることにした。一昨日はひどい雨で、学校に着くまでに靴がびしょ濡れになってしまったので、テストと一緒に靴も持って社会科教室に上がった。社会科教室にしかないガスファンヒーターで乾かすためだ。
社会科教室の南側は一面窓ガラスになっていて、天気の良い日などは蛍光灯をつけなくても明るくて、ポカポカして実に気持ちいいのだが、一昨日はあまりの天気の悪さに部屋も真っ暗で、なんとなく居残りをさせられているような気分で4時過ぎまで丸つけをして帰った。ガスファンヒーターの威力はすさまじく、1時間ほどで靴は完全に乾いていた。

帰る途中もまだ雨が降っていたので、嫁さんから「駅まで迎えに行こうか?」とラインがあったが、時間も18時を回っていて雨降りの中赤子を連れて出るのは大変だと思ったのでバスで帰ることにした。ちょうど良いバスがあったもので、乗り継ぎも実にスムーズに行ったがバスの中で菊池寛の自叙伝を読んでいると気持ち悪くなってしまった。子どもの頃バスで本を読んでいて気分が悪くなり、母になぜ気分が悪くなるのかとたずねて、それは動いているバスの中で動いていないものを見つめているからだと説明され、なるほどと納得したものだった。以来バスの中では外の風景を見るようにしていたのだが、一昨日はどうしても本が読みたくなり、試しに読んでみた結果やはり気持ち悪くなったという次第だ。大人になってからも気持ち悪くなるとは思っていなかった。周りにはスマホを見ている人が山ほどいたがあの人たちは気持ち悪くならないのだろうか。なぜ電車の中では気持ち悪くならないのかということもあわせてよくわからない。

僕が降りる停車場でバスに乗っていたほぼ全員が降りた。移動する照明と化したバスを見送った後、真っ暗になった水たまりだらけの道をマンションの下までしばらく歩き、マンションの郵便受けを確認すると封筒が1通入っていた。子ども関連のことで市から何か来たのかと思って特に気にも留めず他のチラシと一緒にガサっと取って階段を登る途中封筒を確認すると、横山隆一記念まんが館からだった。その瞬間、はてなブログからTwitterで通知を受け取った時と同じように、心臓がドクンと鳴った。いや、しかし既に4コマ漫画大賞の受賞者は発表されているのだ。もう受賞についての通知はないはずだが…だったら何の封筒だ?もしかして応募者全員に案内配ってるのかな、とかなんとか考えながらともかく階段を登りきり、家に入って開封すると以下のような内容だった。

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始まってしまった。

いや、一次審査通ってたんかーい!
驚いたし嬉しかったが、喜びを爆発させるのは我慢して
「こういうことらしいですわぁ」
とあくまで平静を装いつつ、そっと通知の紙をリビングの机の上に置いた。嫁さんは飯の準備をしていたが、はてなブログから賞を頂いた時と同じように
「え、どういうこと?どういうこと?」
とその紙を見て、多少混乱しながら言った。それから「すごいやん!」と喜んでくれた。

文章の方ははてなブログから賞を頂いたこともあって、少し自信が持てたのだが、漫画は全く手応えがなかった。面白いものを書いていると自分では思うのだが、このブログの読者も一向に増えないし、インスタのフォロワー数も二桁のままだし、賞も頂けないし(と言っても漫画の賞にはまだ二つしか応募してないが)、今回の賞も箸にも棒にもかからなかったのかなとガッカリしていたので、たかが一次審査に合格しただけだが(六次審査まであったらしいが僕の作品がどこまで残ったかは分からなかった)この通知は飛び上がらんばかりに嬉しかった。「いいもの書いてるんだからめげずに頑張りなよ」と言ってもらった気がして、漫画書いてていいんだと思えて、それが何より嬉しかった。

通知にも書いてあったが一次審査を通過した作品は受賞作と共に横山隆一記念まんが館に展示されるらしい(12月26日まで)。それってすごいことだ。僕の作品が人目につくところに飾られるのだ。そんなことはこれまでの人生の中で一度も無かった。2回目の漫画賞挑戦で展示まで行くなんて、もしかして僕は天才なんじゃないだろうか。きっとそうだ。勝手にそのように思って浮かれておくことにしよう。

せっかく人生初の展示をGETしたのだから旅行がてら嫁さんと子どもと一緒に高知までこの天才の作品を見に行ってこようかと思う。どんな風に展示されているのか見てみたいし、3作品応募したのだがそのうちのどれが審査を通過したのかも気になる。こんな機会はもうないかもしれない。それに何かが始まったような気がしていて、その始まりの場所を確認したくもある。子どもとの初めての旅行が父ちゃんの作品を見に行く旅だなんてとても素敵だ。また旅行の様子をここに上げたい。


そういえばこの日記は先週のお題に応募しようと思って書き始めたのだが間に合わなかった。一応その名残は残しておくことにする。

今週のお題「最近あったちょっといいこと」