ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

朝と夜

朝「よーし、面白い話をバリバリ書いちゃうぞー!

…………すごい。気付けばとんでもないものを書き始めてしまった。薄々感づいてはいたが僕ってやっぱり天才なのかもしれない……」


夜「なんだぁ、このクソみてえな文章は!?真面目かよ。クソ真面目かよ。何一つ面白味のない能面みてえな文章書きやがって。文章をよぉ、理屈で考えてんじゃねえぞ。ソウルが見えねえよ、ソウルが。安心しな、俺がガッツリバッコリと書き直してやんよ!」


朝「おいおい誰だ誰だ、勝手に書き直した奴は!?僕の書いた規律正しい文章がナルシスティックなおふざけに改悪されてるじゃないか。どこのナルシストか知らないがとんでもないおナルちゃんがいたもんだ。読んでるだけでこっちが恥ずかしくなってくる。こんなナルナルのおナルちゃん文章は、僕が粛清してやる!」


夜「クソックソッ!俺様のソウルフルな文章が、いつの間にか棒みたいな文章に書き換えられちまってる。坊主の説教じゃねんだからよぉ、ストーリーをただなぞってんじゃねぇぞぉ。『僕、とっても純粋で賢いでしょ?』ていうゲスな香りがよぉ、文章から臭ってくんだよ。プンプンとなぁ!パヤオ風に言うとよぉ、ストーリーにワサビが足んねえんだ、ワサビが。
モノホンの文章てのはパンクでなきゃなんねんだ!こうだよ、こう!!」


朝「キイィィィィィ!許せない、僕はもう許せないぞ!あれだけ苦労して書いたのに、滅茶苦茶にされてしまった。僕の書いたものが影も形もないじゃないか。こんなものを自分が書いたなんて言えるものか!かくなる上はやむを得ぬ、やむを得ぬぞ。初めから全部書き直してやる!」


夜「ぬおぉぉぉぉ、ど畜生めえぇぇぇぇぇぇーーーーー!!」


みたいな風にして、僕はいつも物語を書いていく。
朝と夜が平行線をたどる時?
それでも書き続けるしかない。

もうすぐ短編の賞の締め切りだ。