ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

漫画(『スラムダンク』)の模写始めました。

絵がうまくなりたい。別に僕は美術部でも美大卒でもないし、絵の関係の仕事をしているわけではないが、漠然とそう思って生きてきた。もしかして同じようなことを考えている人も世の中にはたくさんいるのではないか。

そのためには一体何をすればよいのだろう。インターネットで検索をかけてみると結構な確率で「模写」と出てくる。そして人体の描き方に関する教本の情報も合わせて出てくる。つまりそれらの教本を模写すれば絵は上手くなるということだ。

そこで僕はその本を買う。
例えば、

「鉄板」と呼ばれる人物画の教科書的存在

このような本や

こちらも同じく鉄板。「ルーミスとハムやっとけばいい」みたいな風潮が何か知らないけどある。

このような本を買う。
そしてそれらを見ながら模写を始める。あるいは見てなんとなく分かったような気になる。
そしてやめる。模写を、すぐにやめる。多分2、3体しか人体を模写してないのにすぐにやめる。
そしてそれらの本は本棚の奥深くに封印され日の目を見なくなる。

それで僕はもう絵のことなど忘れてしまって、元通りの生活を送るわけだが、ふとした瞬間にまた絵を描きたくなる。絵を上手に描くためには……の流れから同じことを繰り返す。新しい本を買ったり、あるいは本棚奥深くでホコリをかぶっている本の封印を解いてもう一度模写してみようと試みる。
だけど結果は同じ。2、3の絵を模写しただけで再び本棚の奥深くに封印される。

今回また同じような周期になって、絵が描きたくなった。で、インターネットで再び調べ始めるわけだが、出てくる情報は似たり寄ったり。
そこで僕は考えた。何故すぐにやめてしまうのだろうかと。
絵が描きたいと思って描き始めるわけだから、絵は描きたいのだ。なのにすぐにやめてしまうなら、きっと僕はその絵が描きたくないんだ。

そこに気付いた。

そうだ。僕はルーミスの本やハムの本に出てくる絵など全然描きたくない。描いていても全く楽しくないのだ。描いた後の感動もない。そうはいっても練習だからしょうがないのでは?と僕も思っていたが、そういう感じになるのがますます嫌なのだ。練習、勉強、努力……それが無ければ何事も上達しないのは分かっている。分かっているがしかし、楽しくもないのにそこに強制力が働くと、途端にそれらが嫌になる。
「やらなければいけないが、楽しい」これならいくらも努力できる。
しかし「楽しくないのに、やらなければいけない」これは僕がこの世の中で最も嫌うことだ。中学時代の部活を思い出す。
ルーミスの絵はすごく上手だと思うけど、好きではない。好きではないから描いていても楽しくない。楽しくないから続かない。

じゃあ僕は一体どんな絵が好きなんだろうか。どんな絵なら楽しく描けるんだろうか。
そう考えた時に、大学時代よく『スラムダンク』の絵を模写していたことを思い出した。
僕は井上雄彦の絵が好きだった。彼の絵を綺麗に模写できたときに(『スラムダンク』29巻95Pの沢北が3人かわしてダブルクラッチを決めるシーンだった)ものすごく感動したことを覚えている。僕が憧れを持った絵の原点は井上雄彦先生だったのだ。

さらに絵のことを調べている時に、『幽遊白書』の(『ハンターハンター』の)富樫先生のありがたいお言葉を見つけた。先生は絵の上達法について、非常に完結に述べられていた。
「絵がうまくなりたい?うむ、半年間連載ペースで描きなさい。毎週19P」
なるほどと思った。習うより慣れろだ。枚数を描いていないのにうまくなるわけがないのだ。

そこで僕は漫画1冊を丸々模写してみる方法はどうだろうかと思った。単発的な、自分の描きたいところだけを模写するのではなく、最初から最後までその漫画1冊のすべてを模写する。題材はもちろんスラムダンクだ。スラムダンクなら動きのある人体もたくさん含まれているし、あるいはルーミスの本を模写するより勉強になるのではないか。そう思った。それに何より、描いていて楽しいのが最高じゃないか。
ただ、基本的に人体をたくさん描きたいと思っているので、背景は描かずに、さらに下書きも無しでボールペン一発描きで描いていこうと思う。

1P目。やはり井上神の絵は最高だ。描いていてすごく楽しい。
2P目。アップの線を一発で取ることは今の自分にはできない。

実際2P分を描いてみて、手抜きなのに死ぬほど時間がかかることにビックリした。これを毎週19P描くとか漫画家ってマジで人間なのかよ。

きっと漫画家は漫画を描くことによって漫画がうまくなっていったんだ。僕もそうなりたい。僕は漫画がうまくなりたいんだ。

描くうちにスピードも上がるのだろうか?この方法なら楽しく続けられそうである。一日1コマでいいから描いていこうと思う。また気付いたことなどあったら記事を書きたい。