ソーリーベイベー

一非常勤講師の覚え書きです。天津飯をこよなく愛しています。不定期更新です。

スラムダンク新装再編版を買った

近頃なんやかんやと絵を描いていて、どうにも描きたいものを描いてる方がやっぱり楽しいので、なにか資料になるようなおもしろい写真集はないかな、と本屋さんに行った。

色々と興味深いものはあったのだが、いかんせんどれも高い。いや写真集の値段としてはいたって普通なのかもしれないが、僕自身今まで写真集というものを購入したことがなかったので、その値段にちょっと尻込みしてしまった。

どうしたものかと本屋内をウロチョロしてると一枚のポスターに出くわした。スラムダンク新装再編版のポスターで、初めて見る桜木花道が描かれてあった。

スラムダンクは僕が中学生の頃連載されていたマンガで、当時バスケ部だった僕が夢中になって読んだマンガだ。ジャンプを立ち読みし、小遣いから単行本を購入した。僕だけじゃない。バスケ部の連中は皆読んでいた。当時バスケをしていた人間で流川に憧れなかった人間はいまい。僕の部屋の天井にも流川の切り抜きのポスターが貼ってあった。いつか流川のようなプレイができたら、と部活が終わってからも真っ暗な公園で必死に個人練習に励んだ。今思い返してみて、あの頃の僕が人生の中で一番よくがんばっていたと思う。今なんかよりはるかに。
肝心の僕らのバスケ部は、うまくまとまれずに崩壊してしまったけど、それでも個人個人が非常に高いモチベーションを保っていたのはスラムダンクのおかげだったと思う。

高校に入ってたくさんのマンガを読むようになると、まあなんと言うのだろう、ミーハーでメジャーなマンガをけなしたくなるような気分が僕の中に芽生えてしまった。僕にはそういう良くないところがある。小6の頃からブランキージェットシティに夢中だった僕は、音楽方面でも、テレビに出てくるような人間の音楽を聞く奴はアホだと思っていた。なんて嫌な奴だ。お前もちっちゃい頃必死に『SAY YES』歌ってたじゃねーか。
とにかくそういうわけで、スラムダンクとはすっかり距離を置くようになって、マンガに関しても音楽に関しても僕は狭い方へ狭い方へと突き進んでいった。誰も知らない僕だけの宝物が欲しかったのかもしれない。
本当はスラムダンクが大好きだったはずなのにな。

そうこうしてるうち、僕の家が放火にあい、僕の持っていたマンガは全部灰になった。JOJO松本大洋スラムダンクも、全部灰になった。
その頃の気持ちを思い出すことはできない。一体僕はどういう気持ちで毎日を過ごしていたんだろうか。何もかも燃えてしまってショックだったんだろうか。思い出せない。

それから大学に入り、再びマンガを集め始めた。以前持っていたマンガはいまだに全部集まりきってはいない。絶版になってしまってもう手に入らないものもある。だからといって別にあの時火事がなければ、とかなんとかそんなことは思ったことがない。燃えてしまったものはしょうがない。

スラムダンクに関しては何故だか集め直す気が起きなかった。大学に入って個人的にバスケも再開したのにな。どうしてだろう。
ただ、山王戦だけは中古で買い揃えた。その時買った26巻~30巻は現在でも持っている。逆にそこしか持っていない。最終巻となる31巻は買わなかった。もともとは持っていたが、燃えてしまってから現在に至るまで31巻は買っていない。多分、悲しくて寂しい気持ちになるのが嫌だったんだと思う。


本屋で新装再編版のポスターを見たとき、すぐに買おうと思った。全然迷わなかった。無くしてしまった宝物を取り戻す機会がやってきたんだと、素直にそう感じたからだ。ひねくれた時期はどうやら終わりを告げたらしい。

本を買って嬉しい気持ちになるのも久しぶりのことだ。井上雄彦先生が新たに描かれた表紙絵を見ているだけで幸せな気持ちになる。それだけで買う価値があると思った。

近頃なんだかノスタルジックだ。

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そこの本屋は売り切れてたので何軒か回ってまとめ買いした。
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新装再編版6巻の表紙を目にしたとき、そのミッチーの表情に鳥肌がたった。井上雄彦先生、しびれまくるぜ。
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ノスタルジックが止まらず、近頃取り憑かれたように浅井健一ばかり描いている。そういや写真集何も買ってない。